いつまで続く--The Mortgage Forgiveness Debt Relief Act of 2007

08.28.2012


ショートセールの定義は皆さんすでにご存知のことでしょうが、念のため、ここでレビューしておきましょう。


ショートセールとは、物件の不動産市場価格が融資残高より下回ってしまった場合、融資銀行からの承認を得て、物件売買を行い、売却益だけでは完済できなかった不足分の債務に対しては抹消してもらうというものです。(日本では「任意売却」と呼ばれています。)不動産バブル崩壊直後のショートセールでは、完済できなかった債務については抹消されずに、銀行側はショートセールを行ったホームオーナーから約束手形をとりつけることが多かったのですが、連邦政府の介入もあり、約束手形をとりつけるという銀行からの要求はあまり聞かなくなりました。


さて、この完済しきれなかった債務は"Forgiven Debt"と呼ばれ、税務上は収入ということで通常は所得税の課税対象となる「収入」とみなされるのですが、米国のバブル経済が崩壊し、ショートセール・差押が常となってしまった不動産市場に対応し、連邦政府は、The Mortgage Forgiveness Debt Relief Act of 2007 という法律を2007年12月20日制定しました。この法律では2007年から2009年の間に抹消された住宅融資の債務について、課税対象の収入としないというものでした。Emergency Economic Stabilization Act of 2008 によりこの法律は延長され、2012年12月31日まで有効とし、現在に至っています。


この法律が延長されない場合、例えば, 300,000ドルの家を20パーセントの頭金でと240,000ドル住宅融資で購入したとしましょう。そして、ショートセールで150,000ドルで物件を売却したとします。その場合、完済に不足した分で、債務抹消となった分の90,000ドルがホームオーナーの収入に追加されてしまうことになります。それにより、所得税の課税対象額が増え、支払うべき税額が増えるどころか、場合によっては税率カテゴリー(Tax Bracket)が高くなり、所得税が上がってしまうことも考えられます。


ショートセールは差押えと比較して、クレジットスコアへの影響も少なく、クレジットの修復も比較的早い(3-4年が一般的)ので、住宅返済が困難となっているホームオーナーにとっての救済処置としてショートセールでの売却は一考価値はあります。しかし、ショートセールの承認から取引完了までにかかる時間が半年以上となるケースもあり、現在ショートセールをお考えのホームオーナーさんは起こりうる税務上の影響をしっかり把握しておく必要があります。(ショートセールをお考えの場合、破産弁護士、税務弁護士、または公認会計士とまずはご相談するこをお勧めします。)


連邦政府の赤字収支が一兆ドル以上ある現在、The Mortgage Debt Relief Act of 2007 が延長れるかどうかはまだわかっておりません。しかし、この法律の行き先が米国不動産市場やアメリカ経済の見通しに大きな影響を及ぼすことは十分に考えられるでしょう。


今年は大統領選の年でもあり、連邦政府の正しい判断と決断を期待したいものです。